定期借家権活用法

2002-6-15 

定期借地権は、土地活用の一つの手法として、定着した感じですね。ところが、定期借家権の方は、まだ施行されて日が短いこともありますが、賃貸市場の供給過多から、一部を除き利用が低迷しています。
 
定期借地権より、はるかに利用が簡単で、適用範囲の広い定期借家権は、今後、もっと利用されてしかるべきだと思います。
 
定期借家権は期限付きの借家権です。契約期間が満了すると法定更新されることなく借家契約は完了します。(2000年3月1日施行)
 
定期借家契約をすることで、正当事由や立退料の支払いが無くても建物を返してもらえます。住宅だけでなく店舗・事務所にも適用されます。貸し主にとって、借家契約の期限が限定されることは、不良入居者、家賃の改定、建て替え、売却などで、さまざまなメリットが生まれます。定期借家権をどう活用するかが、これからの賃貸経営のポイントになります。
 
定期借家契約では、再契約を前提にする場合と期間満了時の退去を前提にする場合とがあります。これを目的に応じて使い分けることが大切です。
 
賃貸事業の不安の一つに不良入居者の問題があります。
 
住宅やテナントの入居者に問題があるときは、貸し主の判断で再契約しないことができます。反対に、問題のない入居者とは再契約をしていきます。
 
また、新築時に賃料を安めに設定しておき、再契約時に賃料のアップを図ることもできます。従来型の借家契約では、継続賃料は相場より安いのが一般的でしたが、その問題を解消できます。
 
アパートや店舗の建て替えを考えたとき、立ち退きの問題が出ます。
 
空きが出ても新しい入居者を入れずに、立ち退きを自然にまかせると長期に渡り収入が減少します。その場合、定期借家契約を使えば、建て替えまでの期間、新しい入居者を期限付きで入れることができ、収入も確保できます。これは、期間満了時の退去を前提にする例です。
 
また、新築時から契約期間の終期をそろえておけば、計画的な大規模修繕や時代にあった間取りの改装が可能になります。
 
従来型の借家契約をされた古い賃貸物件は、売却する必要が出ても借家権がネックになってなかなか売れず、価格をかなり下げてやっと売れる状況です。
 
定期借家契約の賃貸物件は、立ち退きが確実にできますので、売却する必要が出てもあまり値を下げることなく、そのまま売ることができます。
 
今まで、相続税の納税用として残す土地は、固定資産税の高い駐車場にするケースが一般的でした。しかし、定期借家権を利用すれば、積極的に幅広い有効活用ができます。
 
土地活用では、賃貸住宅より貸店舗や貸事務所のほうが、収益性が高いことから好まれます。ただ、突然、退居したとき収入の減少も大きいため、借入の返済を心配される方もおられます。(社宅として一棟貸しする場合も心配されます)
 
定期借家契約では、200平米未満の居住用建物を除き、原則的に中途解約できません。そこで、貸店舗や貸事務所に定期借家権を利用することで、テナントの突然の解約によるリスクから解放され、長期安定収入を確保することができます。
 
ほとんどの賃貸マンション・アパートが対象になる「200平米未満の居住用建物」でも、従来型の借家契約と違い、解約に条件が付きます。
 
それは、借り主が転勤、療養、親族の介護その他のやむを得ない事情で、生活の主な場所として使用することが困難になったときに限り解約できます。
 
ですから、近くに新しいマンションができたからとか、他に安い賃料の貸家があるからなどの理由は通りません。ただ、現実的にはそれなりの事情を作文されるかもしれませんが、ある程度、歯止めにはなります。
 
借り手優位の現在の状況では、入居者募集時に、どのような利益を提供するか工夫が必要になります。
 
月々の家賃を安くしても、どれだけ安いのか入居者にはよく分かりません。むしろ、定期借家権を使って、契約期間に応じて何ヶ月かを無料にした方が受け入れやすいでしょう。
 
賃貸マンション・アパートは、条件付きで中途解約が認められますので、退去時に、残った契約期間に相当する無料家賃分を、バックしてもらう方法はいかがでしょうか。 
 
 
今すぐに定期借家権を利用されなくても、定期借家権の理解を深め、対策を立てておく必要があります。現在のところ、賃貸市場における定期借家権の影響はあまりありませんが、持ち家であった戸建てや分譲マンションが貸される際に利用が増えています。いずれ、賃貸アパートや賃貸マンションにも影響が出てくるでしょう。
 
 
(メルマガ「土地活用メモ!」掲載記事を再編集しました) 

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