| 裏から見た見積書 |
| 見積金額はどうやって出されるのでしょうか |
| 自分が建てるとき以外、見積書に関心を持つことはないでしょう。数字だらけの味気ないものですが、そのなかにはいろんな裏事情が詰まっています。 はじめに、見積書の内容についてお話します。 一般的に、見積書は最初の一枚目に表題部(宛先、工事名、工事場所、見積金額)がきます。二枚目に大項目とその金額。そのあとに 内訳明細書(名称、仕様、数量、単位、単価、金額)で構成されています。また、見積り範囲を明確にするため、見積条件をつけています。 建築プランにより出てくる項目は異なりますが、大項目の概略は次のとおりです。
内訳明細書では、さらに詳細な項目が出てきます。 最後にある一般管理費と現場経費を合わせて「諸経費」とすることも多くあります。 現場経費は現場員の給料、保険料、家賃、通信費、交通費など、現場の運営管理費用です。一般管理費は会社の管理部門や営業部門の経費です。 “一応”、利益は一般管理費、または、諸経費に含められています。 どちらも一式で記載されるため、その内訳はありません。建築に詳しくない人は、この部分で値引き要求をされます。具体的な工事個所を値切ると建物の質が落ちると考えるためか、要求するだけの根拠を持ち合わせていないからでしょう。 この値引き要求に対して、すでに建設会社は織り込み済みです。どうやるのかと言いますと・・・ 値切られやすい現場経費・一般管理費または諸経費を、最初から少なく計上しておき、減らした分はその他の項目に振り分けておく方法。値引き予定分を前もって見積金額に上乗せしておく方法。見積金額の全体をかさ上げしておき、出精値引の項目でドカンと引く方法。要求される前に対応策を考えて見積書を作成するのです。他にも方法はありますが、ケースに応じて使い分けたりします(各社、癖というか営業手法というか見積書の出し方には特徴があります)。 結局、利益がどの項目に入れられているかは分かりません。つまり、各工事項目の金額自体あまり当てにならないことになります。 皆さんが手にされる見積書は、どのようにして見積金額が出されるのでしょうか?(おはなしと思って読んでください) これからは、建設会社の賃貸住宅の見積書を想定しています。(ハウスメーカーなどは少し異なりますので) ●企画提案の場合 建設会社の営業から企画図面といっしょに出される概算見積書、または、事業収支のなかで記載された概算工事費の場合です。 これらは積算の出来る詳細な図面と仕様書がまだ無いため、今までの経験値に基づいて概算の原価を出すことになります。そこに利益を乗せて概算見積書なり事業収支が出されます。 ライバルのいる企画提案では、さらに検討を加え安くします。この段階の図面は、まだ平面図だけか、立面図がついた程度ですから、工事費は後でどうにかなるわけです。しかし、最初に出した工事費は、その後も付いて回りますので、それなりの覚悟で出されています。 ●特命の場合 特命とは、信頼できる建設会社に予算が合えば発注することです。 特命になる理由はいくつかあります。 その会社が入居保証や一括借上をする、立退交渉に協力した、テナントを見つけてきた、銀行や農協からの情報提供、有力者やシンパ?からの情報提供など・・・ 積算して出された工事原価にどれだけの利益を乗せるかは、先程の理由が勘案されます。 たとえば、入居保証や一括借上のケースでは、将来のリスクが上乗せされます。立退交渉のケースでは、それに要した手間がコストとして乗せられます。テナントを見つけたケースでは、コストもかかりますが、そのテナント付けをした優位性が利益に転嫁されます。情報提供のケースでは、謝礼分が原価に乗せられます。銀行の場合3%とか、農協は上部組織の経済連が絡むとかなり高くなるようです。個人の場合はもっと少ないのですが、まちまちです。 特命といっても最初から工事費を指値されたものや、義理人情で儲からなくても請け負うケースは、また別です。(意外と多いですが) ●見積合わせの場合 民間工事では、競争入札(一般競争入札・指名競争入札)はほとんど行われていません。その代わりに見積合わせをします。 入札では一番安いところに決めるのが原則ですが、見積合わせは建築主の総合的判断(見積金額・経営状況・施工実績・技術力・会社の近さなど)で決めることが出来ます。 見積合わせは、設計事務所が作成した図面と仕様書を基に、建設会社数社から見積りをとって決めます。 建設会社は、ライバルはどこか、まず調査します。これが出し値(見積金額)に影響します。参加業者を集めた現場説明で、メンバーが分かればよいのですが、談合を警戒したり、説明会場(設計事務所、建築主宅など)が狭い理由で、時間をずらして行われたりします。その場合は、建築主や設計事務所にメンバーをそれとなく聞き出したり、さらには専門工事会社(下請け)に、同じ物件の見積り依頼が他社からも来ていないか聞きます。敵を知らなくては勝てませんので。 ですから、出し値はメンバーの顔ぶれを見て決めます。(顔ぶれしだいで、早々と白旗を揚げることもあります) どの会社がどの程度の金額を出してくるかは、他の物件でかち合っておれば、“カンピュータ”で予測?できます。 今なら、見積り段階で利益を出そうと考えていると、勝つことなど無理でしょう。当然、一般管理費などは乗せず、現場経費まで食い込んで出すこともあります。そのため、仕事が取れてから利益を出すように努力します。 では、どうやって利益を出すのでしょうか? 見積金額に基づいて現場は工事をするわけではありません。工事にかかる前には、下請けと交渉してさらに詰めた実行予算が作成されます。現場監督は、赤字を黒字にするように会社からハッパをかけられ、工事が終わった段階で、なんとか利益を出すのが実情です。 こんなとき、追加工事や変更工事が出ると現場は助かります。 ◆おまけの話「追加・変更工事の注意点」 工事着工後に追加や変更が出ないよう、契約前によく検討してください。工事が始まってからでは、現場が混乱したり、手戻り(作業のやり直し)も発生します。また、現場員や職人のやる気にも影響します。 なによりも、コストが高くつきます。建設会社は、赤字受注であればよい稼ぎどころとなる反面、下請けに安くさせる切り札がないため、下請けの見積りにそのまま経費を乗せて出さざるを得ない理由もあります。 追加・変更の問題は、工事が進んでから気付くこともあり、やむを得ない場合もあります。それでも、出来るだけ早い段階で設計事務所や現場監督に伝えましょう。 建物完成後、工事代金の支払いで揉めることも珍しくありません。現場では日々工事が進んでいます。追加・変更の工事前に見積りを出すのが難しいため、工事が終わってから予想外の金額を請求されて驚くことになります。 追加・変更には、工事費の増額ばかりでなく減額要因も当然ありますので、どこが増え、どこが減ったかをよく確認してください。 |
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