近隣対策について

2002-1-15

市街地で中高層の建物を建てようとすると必ず、低層であってもそれなりに周辺住民から不安の声があがります。
 
建物を建てることで、なんらかの迷惑をかけることは避けられません。
 
ですから、近隣対策に十分配慮しなければなりません。法規上、問題のない建物を建てるのだからと、甘く考えると工事が遅れるだけでなく、計画そのものが実現できなくなります。また、住民とのトラブルだけでなく、工事遅延や設計変更による工事費アップで建設会社と揉めることにもなります。
 
東京では、デベロッパーが近隣対策請負業者に、交渉の代行をおこなわせて問題になっています。本来、建築主が誠意を持っておこなうべきことをプロに任せきりにするわけですから、周辺住民は不信をもちます。
 
ところで、近隣対策を請負業者に頼まなくても、建設会社まかせにする建築主も大差がないです。周辺住民は、建物だけでなく、工事上の問題でも、依頼した建築主にも責任があると考えます。建築主として住民と向き合い、話を聞くことが最低限のマナーです。
 
かといって、感情的に前に出すぎても話をこじらせてしまいますので、「表には出ても、ことばは少なく」が良いと思います。自分の主張を言いたくなることもありますが、火に油を注ぐ危険があります。
 
 
■近隣対策で出てくる問題
 
日照阻害
建物の日影になるため、階数を下げることを求められます。日影規制をクリアしていても、周辺建物より高い計画ではよく問題にされます。事業収支に影響しますので、簡単に階数は下げられません。 迷惑料を払って解決したりします。
採光阻害
隣りと密接して建物を配置すると、窓から光が入らなくなり問題になります。可能な限り建物間の距離を開けるか、迷惑料を払って解決したりします。
通風阻害
風通しが悪くなり、湿気で健康を害したり建物や家具を傷めることですが、現在の生活習慣では問題にされることは少ないです。 
眺望阻害
今までの景色が見られなくなることですが、市街地ではやむおえないことになっています。 
電波障害
建物の影響でテレビ、アマチュア無線に障害をおよぼすことです。他の建物で対策済みであればラッキーですが、そうでなければ対策費がかかります。事前調査をして対策費を計上しておく必要があります。 
風害
大きな建物になるとよく問題にされます。その予測は難しいため、発生したときの補償を事前に取り決めておきます。 
プライバシーの侵害
ベランダから見下ろされるなどの問題がでます。受け入れることが難しい要望が多いなか、可能な範囲で対応できる部分です。
圧迫感
境界近くに高い建物を配置すると問題にされます。可能な範囲で建物を移動させ、誠意を見せます。
交通障害
入居者の不法駐車や交通量の増加による事故の心配があります。駐車台数を増やすか、入居者への指導の徹底を約束したりします。
工事による騒音、振動等の障害
休日作業の禁止、通学時間帯の工事車両の通行規制、近隣家屋の損傷時の対応、騒音・振動の程度と対応策などが問題にされます。建設会社が住民との交渉により工事協定書を締結します。 
  
交渉が難航するかどうかは、建物の規模、土地柄、自治会の状況、自治会長の性格、一部問題住民の存在、住民の交渉慣れの程度によって大きく違います。さらに、建築主の普段の付き合い、評判、過去の建築反対運動の有無なども影響します。
 
近隣対策のエリアは、役所が指定するか、建築主側できめます。建築主側できめると狭い範囲に絞りがちです。離れていても予期せぬ問題がおこりますので、最初にあらゆる角度から検討が必要です。
 
建築主としては、最初の近隣説明会や戸別訪問の挨拶だけですむこともあります。しかし、近隣交渉は建築主にとって精神的に厳しいものがあります。裏を返せば、周辺住民にとって建物が建つことによる不安が強いということです。相手の気持ちを理解できれば、精神的に楽になると思います。
 
 ※市街地での賃貸マンション計画を想定して書きました。


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